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雷光のリビドー カスヒル 小説【FE風花雪月】

500字程度、1分で読めます。
カスヒルの、ある夜の一コマ。

◆◆◆◆◆◆◆



夕食の時に食堂ですれ違って、
食べ終わったら、自室の片付けを手伝って欲しいとお願いされた。

夜だけど、あの鈍い彼の事だ。
しょうがないなあと返した。

雨音が廊下に響く。

彼の部屋の扉を3回叩く。

扉はすぐに開いた。
彼は私を招き入れ、本棚を指さす。

悪りぃな。
どこに行ったかわからねぇ本があってよ。

整った顔が、にっと笑う。

私は跳ねる心臓に、小さくため息をついて。

どういう本?と訊きながら、
本棚の前に立つ。

背表紙を順番に指でなぞりながら、
言葉を待つ。

あー、そうだな……
そうだちょうど、こんな色の。

彼の手のひらが、
背表紙をなぞっている私の指を、
本の背表紙ごと覆った。

反射的にびくりと体が動く。

背中が熱くなってきて、
何も触れていないけど、
触れるほど近くにいることがわかる。

大きくて熱い手が、
私の手を優しく握ってくる。

雨が窓を叩く音が、無言の部屋に響く。

雷光が2人を照らす。

指先まで震えるほど、心臓が高鳴る。

私は耐えきれなくて
少し振り返って、声を絞り出す。

そういえば
嫌いだったよね、かみな……

もう一度、雷光。

刹那、視線が絡まって。

好きだぜ。お前が。

言葉と共に降ってきたのは、
甘い口付け。


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